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中国内陸市場の攻略法を考える

1 「出稼ぎ県」が求人難
近年の中国で最大の変化は何か。
それは農村が豊かになってきたことだと思う。
北京や上海など大都市の変化は驚くべきものだが、13億人の人口を抱える大国の資金や人材などを少数の大都会に集中すれば、それなりの発展が可能であろうことは、ある程度は想像できたことである。
しかし正直言って、内陸の農村部でここまで急速に生活水準の底上げが進むとは考えていなかった。
ここ数年、機会を作っては内陸部に行くようにしているのだが、私の見た限りでは、「貧困」「悲惨」というイメージはもはやほとんどない。

先月、中国のほぼ中央部、湖北省通城県というところに行ってきた。
「農業大省」である湖北省の中でも同県は「出稼ぎナンバーワン県(打工第一県)」との異名をとるほど出稼ぎが盛んな地域だ。
つまりは地元で食えない(なかった)のである。
ところが同県の県城(行政機関所在地)に行くと、街は大いに賑わっており、メインストリートの商店街は「従業員募集」の貼り紙だらけである。
全ての店とは言わないが、決して誇張でなく2~3軒に1軒は張ってある感じだ。
書かれている待遇も「月収900元保証」など、沿海部の待遇と大差ない。
生活コストは沿海部より圧倒的に低いから、こちらのほうが実質的な所得は上とも言える。
「出稼ぎナンバーワン県」の地元が求人難では、まるで笑い話だ。
これでは沿海部が労働力不足になるのも無理はない。

2 100兆円規模が農村に還流
県城だけではない。
周辺の農村を車で走ると、農家の自宅新築ラッシュで、畑の中に真っ白な外壁の2階建て、3階建ての真新しい農家がいたるところにある。
農村の場合、土地はすべて集団所有(事実上の国有と思っていい)だが、自宅を建てる土地は「自留地」といって、農家が自由に使える(譲渡や集団外への貸借はできない)ので、土地代はいらない。
農民に話を聞くと、1軒の家を建てる費用は平屋建ての普通の住宅が10万元ぐらいからで、2階建て、3階建てになると20~30万元とのことだった。

中国国家統計局のデータによると、2009年の出稼ぎ農民(農民工)の平均月収は1417元(1元14円換算で2万円弱)である。
この金額は上海周辺や深センなどで工場経営者から聞いている数字とほぼ合致している。
夫婦で月2800元。
年収にすれば3万3600元だから、普通の住宅なら3年、ちょっと大きな家でも5~8年の年収で建てられることになる。
これは十分に可能な範囲だろう。

同統計によれば、同年の全国の農民工は2億3000万人。
平均月収で掛け算をすると、全国の農民工が毎月稼ぐ収入は日本円で4兆円以上、年収では50兆円を超える。
これに同じく数十兆円に達する政府の公共投資および外資や沿海部の企業などによる直接投資なども含めれば、毎年100兆円規模の資金が農村に入っている可能性が高い。

3 農村の需要をかき集める内陸都市
このように農村部の生活が底上げされてきたことで、そうした農村に囲まれた内陸の諸都市が、農村部の消費をかき集める形で急速に成長してきている。

これまで中国について日本で伝えられるニュースは「確かに沿海地域の都市部は発展しているが、「内陸の農村部は相変わらず貧困であり、格差の拡大が社会問題になっている」といったトーンが中心だった。
つまり、中国の成長はあくまで「一部の現象」であって、全体的にはまだまだ貧しい――という受け止め方である。
確かに、中国のGDPが総量で日本を超える(今回の円安でもはや追い抜いたとの説もある)規模に達したとはいえ、1人当たりでは日本の10分の1であり、「貧しい」と言えばその通りかもしれない。
しかし、前述したように中国の農村部には毎年、日本の国家予算を上回るほどの、とてつもない額の資金が入り続けている。
もともとのベースが低いだけに、その効果はてきめんである。

例えば、中国で最多、9600万人の人口を擁する河南省は、やはり農業が主要産業で出稼ぎも多い省だが、その経済成長率は04年以降、6年連続で13%を超えている。
年率13%とは、5~6年で経済規模が2倍になることを意味する。
5年なんてあっと言う間だ。日本経済はほとんどゼロ成長だから、今は10分の1でも、みるみるうちに5分の1になり、いずれ3分の1になるかもしれない。

もちろん経済のことだから、何が起こるかはわからない。
このまま中国経済がずっと右肩上がりで成長していくとは私も思わない。
しかし過去20年以上の出稼ぎで蓄積された資金と、それによる教育水準の向上、政府の農村重視政策による巨額の投資などを背景に、中国の農村経済はすでに自律的な成長スパイラルが動き始めたと私は見ている。
この動きは不可逆的なもので、かなりの期間持続すると思う。

もちろん中国の農村に問題がないわけではない。
経済成長による巨大な歪みと弊害が山積している。
ただ、この連載で以前にも指摘したように、そして過去の日本がそうであったように、 「経済成長そのもの」と「経済成長によるひずみ」のどちらがより本質的な話かと言えば、それは疑いなく「経済成長そのもの」であって、「ひずみ」はあくまで「ひずみ」である。

物事の核心を見ずに「ひずみ」のほうばかりを言い立てるような見方をすべきでない。

4 「富裕層戦略」の限界
農村の話が長くなったが、実はこれは前置きで、今回のテーマは内陸部の市場についてである。

広大な農村部の生活水準が底上げされてきた影響で、内陸部のひとつの省とか、場合によっては、ひとつの地方が日本の企業にとっての独立したマーケットとして認識できる可能性が出てきた。
そのために従来の日本企業の対中国戦略とはやや異なるアプローチが可能になりつつあるように思う。

これまでの日本企業の中国事業は、輸出が中心の製造業は別として、中国国内市場を狙う進出の場合、「中国の所得は日本の数十分の1であるから、日本企業のコストを考えると、ターゲットは必然的に富裕層になる。仮に上位1%の富裕層としてもその数は1000万人を超えるから、相当大きな市場だ。まずはここを狙って展開し、そこから下に降りていこう」。 という考え方が基本になっているケースが多かった。

いわば「広く薄く」という発想で、中国全土の主に都市部に散らばる富裕層を上澄みだけ掬っていくというイメージである。

しかしこの戦い方だと、どうしても戦力が分散されてしまい、効率がよくない。

もともと日本でも高級品で利幅の大きいラグジュアリー商品はこの戦法が理にかなっているが、その他の多くの商品やサービスの場合、中国は広いので、いくらやっても努力の割には知名度が上がらず、提供するロットが増えないためコストも下がらず、各個撃破に遭って体力を消耗してしまう状況に陥ることが多い。

もうひとつのパターンは、もともと日本では大衆向けの商品やサービスを、中国では高級品として売り出すという手法である。
富裕層にしか市場がないから、そうして利益を確保しようという意図はわかるが、値段が高ければ市場はなかなか大きくならないし、日本では実は高級品ではないことは中国の顧客にもいずれ知れてしまうので、大きくは伸びにくい。

これらはある意味で仕方のないことだと思う。
要するにそこまでのマーケットの厚みが中国になかった。
つまるところは時期尚早だったのである。

5 河南省ひとつで大阪府並みに
しかし状況はだいぶ変わりつつある。
例えば、前述した中国最大の人口を抱える河南省の09年のGDPは1兆9367億元(速報値)で、日本円で27兆円ほどである。
これは日本の都道府県と比較すると、北海道や埼玉県より大きく、神奈川県より小さい。
しかし、仮に今から河南省での事業展開を考えたとして、本格的な営業は数年後のことになるだろう。
今のペースで行けば、数年後には同省のGDPは40兆円を超える計算だ。
これは東京(92兆円、07年)に次ぐ第2の経済規模を持つ大阪府(39兆円、同)を上回ることを意味する。

取り組み方の発想も変わるはずだ。
私の経験では、中国で事業展開している日本の小売や外食、サービス業などで、日本人社員を中国に10人以上派遣している会社は多くない。
仮に中国全土の市場をターゲットに、10人の日本人を配置したとしよう。
本部の上海に3~4人、北京に2人、広州に1人、成都に1人、瀋陽に1人……。
1人の社員が億単位の人口を相手にしなくてはならない。
大都市の幹部は偉いから、会うのもなかなか難しい。管轄下の諸都市を回るだけで何カ月もかかる。
取引先だって訪ねきれるものではない。
当然ながら同業との競争も激しい。

ところが、やや極端な例え話だが、この企業が仮に河南省1省にターゲットを絞り、10人の日本人を省内に駐在させたとしよう。
うち1人は「中国総代表」(肩書は偉そうなほうがいい)として省都の鄭州に置き、残り9人は省内の9都市に「地域総支配人」として張り付ける。
そんな外国企業はまずないから、省都の鄭州ではすぐにメディアの話題になる。
地方都市の市長クラスだったら、ちょっとツテを手繰れば会うことは難しくない。
地元の経済界の人々とほとんど面識ができて、どの街の、どの通りの、どのショッピングモールの何階は賃料がいくらで――と
全て頭の中に入っているようになるだろう。

中国の省というのは意外に独立性が高くて、テレビや新聞などのマスメディアも政治や外交ネタは中央の通信社が流したものを使うが、ニュースや読み物の大半は省都やその地の拠点都市にある地元のテレビ局や新聞社から発信される。
地元の人が読むのは大半がローカル紙である。

ある一つの省にターゲットを絞れば、企業の知名度を高めるのは難しくない。

四川省成都のイトーヨーカドーや湖南省の平和堂が圧倒的に強いのは、こうした戦い方を10数年も前からやっているからだ。

6 50万都市で売上高100億円
昨年秋、河南省で農村を訪ねた帰りに同省の許昌という街に行った。
市街地の人口60万人、管轄下の県人口が450万人の地方都市である。
名前を聞いたことのある日本人は少ないだろう。
単に宿泊の都合で寄ったのだが、街を歩いていると真新しい巨大なデパートがある。
同じ名前の家電量販店のチェーンも見かけたので、街の企業グループらしい。
デパートに入ってみると、若い男性店員がエスカレーターの脇に立って笑顔でお辞儀をし、老人や子供に手を差し延べている。
電気製品売場の店員は、お客が誰もいないのに黙々と商品を磨いている(中国では極めて珍しいことである)。
興味を持ったので、店のサービスカウンターに寄って来意を告げ、誰か責任者に会えないかと聞いてみた。
店長が来てくれるというので待っている間、男性係員に店のサービスを褒めると、嬉しそうに同社の経営理念の素晴らしさを滔々と語ってくれた。

店長は30代の女性で、謙虚で勉強熱心だった。
オーナーは地元出身の男性で、40代。
95年に市内に食品店を開業し、サービスの良さで市民の支持を集めて事業を拡大、09年4月にこの百貨店をオープンした。
店長の彼女は高卒で創業時から店を手伝い始め、昨年、このデパートの店長を任されたという。
30分ほど話した後、「オーナーがいるかもしれない」と電話をしてくれて、会うことができた。

彼の話によると、この店舗は建築面積7万㎡の大型店で、初年度売上高の目標は7億元。
その他、同市内にコンビニや食品スーパーなど他業態も含めて大小30数店舗を展開するほか、省北部の新郷市にも07年、4万㎡の大型モールを出店している。
同店の08年間売上高は9億元に達したという。

日本に視察に行ったこともあり、日本の流通業に大いに学んだという。
3時間近く話し込んだが、後半は日本の管理システムや人事制度について私を質問責めにした。

上海に戻ってから知ったのだが、このオーナーは最近、中国の流通業界では注目株の若手経営者で、テレビの経済番組や経済雑誌などにも時おり登場している。
彼らとは今でも携帯メールのやりとりが続いている。

何が言いたいのかというと、
この程度の規模の地方都市(中国には何百とある)でも素人が創業10数年で数百億円の売上高の店舗網を作ることが可能であり、各地でこうした志のある若手経営者が生まれてきているということ、そして彼(女)らは海外の先進的な経営を学びたがっているし、私たちがその気になりさえすれば、こうした経営者をアポなしで訪ねて遅くまで語り合うこともできる。

中国の内陸部とはそういう「規模感」であるということだ。

7 「日本人は誰も知らない日本企業」
日本を代表するような大企業は別として、日本の多くの企業や個人が中国で事業をしようとするなら、これまでとは発想を変えた方がよいと思う。

それは「中国」に進出するのではなく、中国のどこで、どの省で、どの都市で勝負するのかを明確にすることである。
人口が日本の10倍で、経済規模が10分の1だったような昔の中国ならともかく、中国はもはや巨大だ。
「中国」を舞台に戦うのではなく、
「河南省でナンバーワンのレストランチェーン」とか、
「湖北省で最もサービスのよい美容室のチェーン」といったポジションを目指すほうが成長速度は速く、成功の確率は圧倒的に高いだろう。

それが可能になるだけの市場の厚みができ始めている。
「5年後に大阪府超え」という市場のサイズを、大きいと見るか、小さいと見るか。
 「それなりに大きい」と思えるなら、中国の内陸都市は面白いと思う。

中国はこれまで内陸部と沿海大都市の差が大きかったため、人材もノウハウも沿海大都市に集中している。

ところがここへ来て内陸部の経済が急速に豊かになり始め、いわば需要に供給が追いつかない状況が出現している。

 今ならまだ間に合う。

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